1.カンキツの遺伝資源・機能性成分に関する研究

1)ミカン亜科遺伝資源
当研究室では、1974年より海外からもカンキツ属を中心にミカン亜科遺伝資源の導入を開始しました。ミカン亜科33属中22属を保有しており、カンキツの進化系統や種分化について解明するため、DNAマーカーを使用した多型解析などによって研究を開始しています。この貴重な遺伝資源は研究室メンバーや技術員によって維持・管理されています。



2)国内および海外における遺伝資源調査
2007年から、ブータン王国、鹿児島大学および佐賀大学総合分析センターと共同し、ブータン王国に自生しているカンキツ類について調査を継続しています。特にレモンの祖先であるシトロン等はブータンを含むヒマラヤ地域が原産地であり、形態学的、遺伝学的な観点から分類を行っています。2015年も現地で調査を行いました。また、2017年12月~2018年1月にかけてミャンマーを訪問しました。
 国内では、2017年より伊豆半島の野生タチバナについて調査を行っています。
   


3)SSRマーカーによるカンキツ類やオリーブの分類・同定
カンキツ属、キンカン属、カラタチ属は私たちが食用や台木に利用したりしている身近なカンキツ類ですが、カンキツの雑種性に加え、接木によるクローン増殖、さらには枝変わりによる突然変異種などカンキツの存在形態は多様性に富んでいます。そのため、種や品種の同定は産業的にも学問的にも重要です。私たちは、SSRマーカーによる品種識別や親子鑑定システムを構築し、研究室で保有する品種・系統の同定や交雑親の推定等を行っています。
     
 遺伝子増幅装置  SSRマーカーによる
アリルピークの取得
サンガー法による塩基配列の取得
     

4)機能性成分の同定・定量
カンキツ類は生理活性のある二次代謝産物の宝庫です。私たちは、シークワシャーやポンカンに含まれるフラボノイドのグループ、ポリメトキシフラボンに着目してその蓄積や分布、生合成についての研究を行っています。とくにノビレチンは抗ガン活性や記憶減退抑制効果のあることが報告されており、興味深い物質です。              
 
 
 定量に使用するHPLC  ポンカンにおけるノビレチンの同定
   


5)カンキツ類の香気成分の同定
カンキツの香気性成分は古くから香水の原料として使用されてきました。実際、品種によって香りが大きく異なります。主要成分はLimoneneというモノテルペンですが、多くの微量成分を含んでおり、その成分組成が香りの多様性を生み出しています。また、香りの中には抗菌活性や昆虫などの忌避・誘引作用を有しているものがあることが示唆されており、化学生態学的な研究も行いたいと考えています。
 
ガスクロマトグラフ
 
ダイダイとユズの香気成分比較
 
 

参考文献
Tshering Penjor, Takashi Mimura, Nobuhiro Kotoda, Ryoji Matsumoto, Atsushi J. Nagano, Mie N. Honjo, Hiroshi Kudoh, Masashi Yamamoto* and Yukio Nagano*. RAD-Seq analysis of typical and minor Citrus accessions, including Bhutanese varieties.
Breeding Sci. (in press)